佐藤くんは甘くない
「───瀬尾の癖にやるじゃん、見直した!」
振り返って、言ってやると瀬尾がなんだよそれ、と苦笑しながら私の隣にやってくる。
───ヒュー……ドン!!
お腹の底に来るような轟音と少し遅れて、花火が開花していく。白や、青や、赤や、緑、いろんな光を持ったきらきらが黒に溶けていく。
「なんかさー」
「ん?」
「花火見てると寂しいなって思うんだよね」
「おばあちゃんかお前は」
瀬尾のツッコミに私もくすっと笑ってしまう。
確かにそうだ、こんなことを想うのはきっと思った以上に私がババアくさい考えになってしまったから。
「佐藤くんとさ、ひまりちゃんが二人でいるの、見てさ」
「……」
「ああ、佐藤くん成長したんだなあーって嬉しくて、」
嬉しくて。
そして、
「ちょっぴり、寂しかった」