佐藤くんは甘くない


***


「はー……」


小さくため息をつきながら、さっき貰った用紙をもう一度見下ろした。またため息が漏れそうになった。


なんでそんなこと言っちゃったんだ、私は……。

実行委員なんてやったら、文化祭当日とか忙しくて何もできないじゃん。


よろよろ廊下を歩いているうちに、教室についてしまった。教室の中から、クラスのみんなの楽しげな声が聞こえてきて無性に切なくなった。


やる気なく、教室のドアに掛ける。


そして、数センチドアを開けたその時。









「───っっ、結城……!」




いきなり、ドアが全開になる。そして、目にも留まらないスピードでばっと私の影に隠れてしまった。


「え、ちょ、何事」


後ろを振り返ると、制服の裾を握って、小さく肩を震わせる人物───佐藤くんが、泣きそうな顔で私の顔を見上げる。



< 457 / 776 >

この作品をシェア

pagetop