佐藤くんは甘くない
だから、決めたんだ。
今度は俺があいつを守るんだって。
例えあいつに嫌われたって、蔑まれたって、世界中の誰を敵にまわしたって。
今度は、俺が絶対にあいつを守るんだって。
その日も雨だった。遠くの方で雷が鳴ってて、白い病室が時折光ってた。俺は、あいつの前で頭下げながら言った。何度も何度も、何度も、何度も謝って。何度も何度も額床にこすり付けて、声がかれるまで謝った。
…………とうとうハルは何も言わなかった。
守れ、とも守らなくていいとも。
だから、俺はただ約束してない約束をずっと守り続けてる。
…………これが、全部。
ああ、そうだよ。
だから、あいつは雨が降るたびに今までのいろんなことを思い出して、また左肩が痛くなるんだ。きっと、その痛みは戒めなんだ。
俺が、何にかえてもハルを守るって言う、戒め。