佐藤くんは甘くない
佐藤くんとジレンマ
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目を覚ました時、あったのは自分の部屋の天井だった。
後でお母さんに事情を聴くと、どうやら私は学校の地理準備室で倒れて保健室に運ばれたらしい。記憶が曖昧だけれど───たぶん、瀬尾に。
頭が痛かった。
頭痛とかじゃなくて、精神的に。私は、何かとんでもないことを口走ったような気がしてならない。
でも、私を迎えに来た瀬尾も特にいつもと変わらない表情で迎えてくれた。
心にもやもやを残したまま、学校へ。
文化祭準備のおかげで、授業が半日になって私たちはすぐさま準備に取り掛かった。昨日話し合いで出来上がった台本を人数分刷るように言われて、私は職員室へ印刷しに行った。
ぼーっと、昨日の出来事を頭の中で辿りながら、コピー機に原本を入れる。
……確か、資料を持って地理準備室に行って───昨日雨のせいで意識が朦朧となって、それから……そうだ、誰かがドアを開けて。
私を保健室まで運ぶって、負ぶってくれたんだ。……それから?
それから私は、その背中に身を寄せて───
「───結城」
突然、名前を呼ばれた。