佐藤くんは甘くない
私はきっと、どうしようもない奴なんだろう。
恭ちゃんのことを散々自己犠牲と呼んでおきながら、私はまた同じことをしようとしている。
こんなことをするのは、間違いだろうか。
誰かのために、自分を犠牲にすることが、間違いだろうか。
いくら考えても、分からなかった。でも、たとえ答えが出たとしても、それが私の意志に反するものだったとしても。きっと、私は同じことをした。
胸が痛い。ひりひりと焼けつくような痛みがずっと続く。目の前で、私の顔をのぞき見る佐藤くんの表情すら読み取れないほど、視界が霞みそうになる。
でも、それでも笑った。
「佐藤くん、」
「……うん」
「私、ずっと応援してます。佐藤くんの恋が、叶うのを」
「……うん」
「だから、頑張ってください」
きっと、これが正しいはずだと信じて。