佐藤くんは甘くない
待て。
おいおいおいおいおいおいおいおいおいおい。
待てコラ。
しばらく硬直状態だった私が、恐る恐る手を上げた。
「あのー失礼してスイマセン」
「……」
抱きしめたくなるくらい真っ赤に顔を染めた佐藤くんが、なんだよとでも言いたげに私を見上げてくる。
「……私ー、結城こはるというのですが……」
お間違いはないでしょうか。
が、その言葉に佐藤くんはきょとんとした、可愛らしくおめめぱちくりさせて首を傾けた。可愛い。
そして───
「そんなの、知ってるけど」
「……アレ?」