佐藤くんは甘くない
佐藤くんとウソツキ


「クリスマス会……ですか?」


私は、目の前に突き出された紙を凝視して、そう告げる。

先生は、ああと短く返事をして、続けた。



「クリスマス会って言うよりも、パーティーって感じな。各クラスで出店開いて、中庭にどかんとでかいツリー立てるんだわ。文化祭みたいなもんでさ。毎年結構凝ってるから、今年も延長戦でって感じだな。3年生はもう受験まっしぐらだから、主体は2年ってわけ」


「はあ」



私は曖昧に頷いて、その隣で私と同じように曖昧な頷きを返すのは恭ちゃん。私たち二人が職員室に呼び出されるなり、特に説明もなしにずんずん話が進んでいく。

私は仕方なく、まだ話を続ける先生に向かって手を挙げた。


「先生」

「なんだ」

「ところで私たちはなんで呼び出されたんです?」

「お前らに文化祭同様引き続き、実行委員をやってほしいからだ」

さらりと言ってのけたよこの先生。

鬼畜すぎる。笑えない。


「すでに申請しておいてやったぞ」

「権力にものを言わせて! そういうのよくないと思います、教育委員会に訴えますよ!」

「お前がこの前提出し忘れた課題の期日伸ばしてやるって言ったら?」

「先生最高! これからも一生ついていきます!」

「ちょろすぎ……ハル」




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