佐藤くんは甘くない
「……くん」
呼ぶ。
「さ、……とう、く」
彼の、名前を呼ぶ。
いつの間にか、頬にはぽろぽろと涙が零れ落ちていた。
「さとう、く……す、き」
言えなかった、言葉を。
口に出せなかった言葉を、私は無理やりに紡いでいく。
「さと、く……すき、すき……すき……っ」
好きだよ。
佐藤くんが、好きだよ。
ずっと。
ずっと、好きだよ。
「佐藤くんが……っ、すき……っ」
たとえ、佐藤くんが私のこと好きじゃないとしても、私は───