佐藤くんは甘くない
「いや、でも佐藤く、」
「違うよ」
「……えっと」
「言い直し要求」
「…………なつき、くん」
「ん」
佐藤く、那月くんは私がそういうと、満足そうに口元を綻ばせて、ふわりと全身を砂糖漬けにさせられてしまったような気分になる。佐藤だけに。
那月くんは、もうあきらめなさいとでも言うように、自分の膝をぽんぽんと叩いた。ええっと。これ以上は……そんな思いも込めて、見上げるが、那月くんはどうやら譲る気はないらしい。
ここは折れておくのが、一番だろう。
失礼します、と一言声を掛けて私は再び那月くんの膝に頭を乗せる。
「こっち、向いて」
「……どうしたんですか? ……あ」
「はい、禁止用語。こはるはなんかい言ったら分かるわけ。俺に敬語はだめ。あと恭ちゃんって言って、あいつに頼る前に俺頼ってよ」
「……心に銘じておきます」
「だめ。寂しくなったから、お仕置き」