佐藤くんは甘くない


画面は切り替わって、夕焼けの桜が舞い散る坂の途中へ───。


少しだけ前に歩く漆黒の美少年。

しばらく無言で歩いていた、その時。



『───実はね、美少年くんと話してみたいって、思ってたんだ』



沈黙を破るように、雛森さんがそう口を開いた。


おお。

いきなり来るな。

可愛いから押しの弱いタイプかと思いきや、かなり押してくるタイプだったんだ。


『これから、もし……よかったらい、一緒に帰ってくれませんか……?』


その声とともに、返事を待つかのようにきゅうっと目をつむって口を結ぶ雛森さんがアップで映る。


『1「いいよ」

 2「困る」』


ぴろり、と効果音が流れるとともに───表示される選択肢。



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