佐藤くんは甘くない
「さ、佐藤くん……怒ってます、よね」
私がそういうと、佐藤くんは一度だけこちらをちらり、と見て
「別に」
またふいっと向こうを向いてしまった。
これはかなり、怒ってる。
「佐藤くん」
「……」
「佐藤くん、ひまりちゃんは怒りっぽい男の子は嫌いだってこの前、」
「っっ、だから別に怒ってない!」
いきなりこっち向いたかと思うと、真っ赤な眉を寄せた怒り顔で真反対なことを言う佐藤くん。
表情と言語がちぐはぐすぎて、私は一瞬吹きそうになるのを抑える。
が、佐藤くん、その辺鋭いらしい。
私の行動を察知したのか、沸騰する音が聞こえるんじゃないかってほど耳を真っ赤にして、
「ほんと!最悪!バカ!」
「す、すいませ……っ、佐藤くん、ひまりちゃんのことになるとすぐに熱くなるから」
これだから、佐藤くんはからかいたくなってしまうのだ。