佐藤くんは甘くない




「変なの……っ」



乗せられたおすそ分けの風呂敷に頭を乗せて、肩を震わせ始める。


ど、どうしたんだろう佐藤くん。

何が起こったのか分からず、瀬尾の方を見るけれど、瀬尾もあほ面でぽかんと佐藤くんを見ていることに気付く。


「あはは、ほんと、おかし……っ」


くすくすと、佐藤くんは一通り笑うと、はあ、と何かをすべてぶちまけるように息を吐き出した。


「なんで、こんなにしてくれんのかさっぱり分かんない」



───どうして、そんなふうにしてくれるのか。


佐藤くんのその一言が、やけに耳に残る。

そして、そういった時の佐藤くんの表情が一瞬曇ったことも。


ふいに伏せていた顔を上げると───佐藤くんはゆっくり、ゆっくり口元に笑みを浮かべて、



「でも、ありがと」



そう言った。



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