佐藤くんは甘くない
佐藤くんとサクセン
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学校で、佐藤那月といえば知らないものはいない。
単にカッコいいとかそういう部類じゃない。
なんというか、綺麗という言葉が当てはまるような人だった。
1年の春、彼と同じクラスになった時。
窓際でぼうっと頬杖をついている様子は絵画の中から飛び出してきたみたいに綺麗で。
女子たちはこぞって騒ぎ立てたのを、今でも良く覚えてる。結局、1年生のころ佐藤くんと喋ったことは一度もなかったけれど。
「……はあああああああああああああ」
「どーしたの、ため息ついて?」
「いいんすよ、ちょっと人生に絶望してるだけです」
机に伏せながら、私はもう一度ため息。
「こはるちゃんが元気ないと、心配だよー。あ、ポッキー、たべる?」
そういってふわふわの柔らかそうな栗色の髪を揺らしながら、鞄からごそごそ探し始める彼女。
そんな姿を見ながら、癒される私。あーもう本当にひまりちゃんの可愛さは異常だわぁ。