佐藤くんは甘くない
瀬尾が慌てて角から突入。
「あー、あー悪い佐藤」
「……え」
佐藤くんがはっと、弾き飛ばされたように顔を上げる。
え、って。
佐藤くん、ちゃんと作戦覚えてるよね!?
「一緒に帰るって約束してただろーが」
「え、あ、あ、ああ」
よし、瀬尾が上手くリードしてくれた。
佐藤くんがちょっとだけ、ぼうっと佐藤くんと瀬尾を見上げているひまりちゃんを見て、それから慌てて顔を逸らす。だから、中学生日記じゃないんだから。
と、ともあれ。
私も出動だ。
なるべく自然に見えるように、数歩後ろに下がってからゆっくり角を曲がった、そのとき。
「───ゆー、うー、きー……!!」
悪魔の声がした。