佐藤くんは甘くない


瀬尾が慌てて角から突入。


「あー、あー悪い佐藤」


「……え」


佐藤くんがはっと、弾き飛ばされたように顔を上げる。

え、って。

佐藤くん、ちゃんと作戦覚えてるよね!?


「一緒に帰るって約束してただろーが」

「え、あ、あ、ああ」


よし、瀬尾が上手くリードしてくれた。

佐藤くんがちょっとだけ、ぼうっと佐藤くんと瀬尾を見上げているひまりちゃんを見て、それから慌てて顔を逸らす。だから、中学生日記じゃないんだから。


と、ともあれ。

私も出動だ。

なるべく自然に見えるように、数歩後ろに下がってからゆっくり角を曲がった、そのとき。









「───ゆー、うー、きー……!!」




悪魔の声がした。




< 98 / 776 >

この作品をシェア

pagetop