夢幻罠
彼らが対処するだろう。それに、わざわざ戻る義理も理由もなかった。

…そしてあの不快な墓地を過ぎて尚も事故車が発見できなかった時の事を考えると、唇が乾くほど恐ろしかった。

…なに考えてんだ!?

…どうも俺の深層心理では、五つ目の車が忽然と消えたという事態を疑っている節があった。

…バカな!

…車が忽然と消えるわけはない!

…UFOに怪光線を浴びせられ、消されたのか!?

…では、墓地からゾンビが現われ墓に引き摺り込んだのか!?

…または、異次元への道が突然開かれ、そこに落ちて行ったのか!?

…馬鹿バカしい!!

…もうおまえは30だろう!?なに子供のようなこと考えてんだ。

俺は車が突然いなくなった事態を、強引に故障と考えるようにした。
それもガス欠に…。
…これなら笑える。

(アレ!?…ここはどこだ?)

霧は気にならないぐらいに薄くなっていた。それより、この道は記憶がない。

…もう少し走れば知っている景色に巡り合えると信じた。

あのあぜ道を抜けた所からここまでは一本道だ。道を間違えるわけはなかった。

もう少し走れば見覚えのある場所に出るはずだと思った。
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