夢幻罠
3
まばらにあった人家を抜けると、夜霧は増殖を始めたアメーバのように車を飲み込んだ。
道は急に狭く荒れだした。
舗装はしてあったが、凹凸が多い細かいカーブが続いた。
俺は目を凝らして、路面と前方を見つめた。
そろそろマスターの言っていた吊橋があるはずだ。
…あれは何だ!?
フォグランプの先に、それ自身が放つ光によって陽炎のように白く地面から立ち昇る気体状のものが見えた。
隣に声を掛けた。
「ねぇ、あの白い物は何だろう?」
「えっ!?ワッ幽霊よ!!」
と言って、彼女は俺の左腕を掴むと、
「止まって!」
と叫んだ。
急ブレーキをかけた。
気体状のものはフォグランプの光に照らされ、その光と同色の人の姿を形作っていった。
そしてそれは翼のように腕を広げた。
次の瞬間、小さな点滅する火の玉を従えた、長い髪を振り乱した女の姿に変わっていた。
まさしく幽霊だった。
瞬きも忘れて見つめた。
顔は雪のように白く、口は避けたように左右に広がっていた。
そして夜霧を泳ぐようにボンネットから運転席に移動を始めた。
道は急に狭く荒れだした。
舗装はしてあったが、凹凸が多い細かいカーブが続いた。
俺は目を凝らして、路面と前方を見つめた。
そろそろマスターの言っていた吊橋があるはずだ。
…あれは何だ!?
フォグランプの先に、それ自身が放つ光によって陽炎のように白く地面から立ち昇る気体状のものが見えた。
隣に声を掛けた。
「ねぇ、あの白い物は何だろう?」
「えっ!?ワッ幽霊よ!!」
と言って、彼女は俺の左腕を掴むと、
「止まって!」
と叫んだ。
急ブレーキをかけた。
気体状のものはフォグランプの光に照らされ、その光と同色の人の姿を形作っていった。
そしてそれは翼のように腕を広げた。
次の瞬間、小さな点滅する火の玉を従えた、長い髪を振り乱した女の姿に変わっていた。
まさしく幽霊だった。
瞬きも忘れて見つめた。
顔は雪のように白く、口は避けたように左右に広がっていた。
そして夜霧を泳ぐようにボンネットから運転席に移動を始めた。