夢幻罠
「どちらでも」

「えっ!?」

「だから、どこでもいいです」

(まいった!?)

…今日だけで何度目の“まいった!?”だろう?
…彼女たちは雰囲気が似ているだけでなく、言う事も一緒だった。

「…でも家に帰らなくちゃまずいでしょう?」

「家出して来た、と言ったと思いますが」

「でも君の御両親は心配してると思うよ」

「いや、絶対に帰りません」

「うん。それは分かったけど、住所は?」

「…それも絶対に教えません」

彼女の睨むように厳しく変化した目付きで、意思の固い事が分かった。

「チッ!」

俺は舌を鳴らすと、仕方無く車を発進させた。
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