夢幻罠
5
いま俺を含めた四人は、俺の3DKのアパートにいる。
まるく座り、水割りを傾けている。
一人では広過ぎると感じた3DKも、四人だとうさぎ小屋のように見えた。
三人を見比べると、三人三様の顔をしていたが、改めて誰が誰かと言われると区別がつかなかった。
オーラというものがあるとすると、三人の発するオーラは同一と思える。
それが同一の雰囲気を醸し出していると思える。
彼女たちは俺の勧めで、先に風呂に入った。
彼女たちの使うシャワーの音が俺の耳に届き、何故か“J・D・サウザー”の『ユア・オンリー・ロンリー』の物悲しいメロディーに転化した。
俺は服を脱ぐと、風呂場に入った。
カリテス(*ギリシャ神話の美の女神)のように透き通った肌の均整のとれた裸体が三つあった。
一人がシャワーを浴び、二人は湯ぶねにつかっていた。
しかし俺には、誰が誰だか分からなかった。
不思議な事に三人とも、声を上げるどころか、裸を隠す動作も行わなかった。
まるで、俺が当然入ってくると思っていたかのように……。
俺の頭の中には相変わらずユア・オンリー・ロンリーの物悲しいメロディーが流れている。
俺はシャワーを使っている女の後ろにまわった。
一緒に浴びた。