夢幻罠
夢中状態のため、それらの物を気持ち悪がる余裕もなかった。
たったこれだけの作業の間に、夜霧のためか、服はビショビショに濡れていた。
スコップを使い墓を掘りはじめた。
土は思っていたよりも柔らかく、比較的堀り易かった。
しかしそれもほんの数十センチだった。
竹の根がピッシリと絡まっていた。
トウグワを振り下ろし、ピシィ!ピシィ!と一本づつ切っていく作業が待っていた。
汗を拭うのも忘れ、狂ったように作業に従事した。
太い木の根があった。
そこは避け、まわりの土を崩した。
ビシッ!
木の根とは違う物をスコップが折った。
それは闇に馴れてきた俺の目に青白く映った。
…骨だった。
それも人骨だろう?
穴から掘り出すと、両手を合せた。
足の大腿部の骨だと思われた。
右前方に光の帯が現れた。
絞られた光が雑木と墓石に長い陰影を作った。
車のヘッドライトだ。
自分の掘った穴に死体のように横たわって、隠れた。
掌の下で丸い感触がした。
たったこれだけの作業の間に、夜霧のためか、服はビショビショに濡れていた。
スコップを使い墓を掘りはじめた。
土は思っていたよりも柔らかく、比較的堀り易かった。
しかしそれもほんの数十センチだった。
竹の根がピッシリと絡まっていた。
トウグワを振り下ろし、ピシィ!ピシィ!と一本づつ切っていく作業が待っていた。
汗を拭うのも忘れ、狂ったように作業に従事した。
太い木の根があった。
そこは避け、まわりの土を崩した。
ビシッ!
木の根とは違う物をスコップが折った。
それは闇に馴れてきた俺の目に青白く映った。
…骨だった。
それも人骨だろう?
穴から掘り出すと、両手を合せた。
足の大腿部の骨だと思われた。
右前方に光の帯が現れた。
絞られた光が雑木と墓石に長い陰影を作った。
車のヘッドライトだ。
自分の掘った穴に死体のように横たわって、隠れた。
掌の下で丸い感触がした。