夢幻罠
…昨日から白骨を含め、何体も死体は見てきたじゃないか

少し気を取り直し、観察した。

乳飲み子は裸だった。生後半年位と思えた。

腐敗具合は男と同じ位と思えた。

…何故こんなものが!?

…考えても、分かるわけがなかった。

鼓動がおさまるまで待ってから、二つの死体を外に引きずり出した。

再びカバーを掛け、男の死体を肩に担いだ。

予想よりも重かった。そして耐えられないほどの悪臭だった。

途中で転んだ。

疲れ果て、脇から手を入れ、引きずった。

やっと、穴まで辿り着いた。

車に戻り、乳飲み子の死体を抱えた。

悪臭は酷かったが、軽いので助かった。

息を止めたまま、小走りした。

悪路に足を取られ、転んだ。

チィッ

飛び出た死体の手足を、乱暴にビニール袋に押し込んだ。

再び小走りを始めながら、自分の顔が鬼の形相になっているのを感じた。

穴まで来ると、男の上に乳飲み子を重ねて置いた。

穴を広げる必要を感じた。

スコップを何度か使った。
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