夢幻罠
さらには俺の家からは俺の主張した女たちの指紋は発見できなかったということだ。

僅かにバー不夜城から採取された女の指紋と同一の物が、車と家から出てきただけだった。

舐めたようにピカピカに磨かれていた部屋を思い出し、
…溜め息まじりに納得した。

もっとも納得したのは俺だけだったが……。

俺の待遇は、容疑者から始まり、死体遺棄が付き、さらに死体損壊、おまけに”礼拝所不敬”という罪も重ねられた。

これは何かというと、“墓をあらした罪”ということだった。

刑法にも載っていて二年以下の懲役が課せられるということだった。

次には連続殺人という子供でも知っている罪が加わるのは時間の問題だ、と刑事は言った。

俺は不夜城のマスターが怪しい事を初めに言っていたが、裏が取られ、マスターはシロと断定された。

…では誰が?

…誰よりも俺が一番それを知りたいのを誰も知らないだろう。

俺は弁護士を雇った。

彼に霧の夜の出来事を何度も詳しく話した。

彼にも質問され、解答の出せなかった謎が、未だにわだかまりとして残っていた。

…脇道にそれてから追ってきた何台もの後続車が突然消えた謎が……。

5日後、弁護士はあるニュースを持ってきた。

殺された画伯は絵の題材を求めて各地を回っていたが、その各地に愛人を囲っていたのだ。

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