夢幻罠
しかしそれは出来なかった。

もしそれでも追い付いて来なかったら理不尽だからだ。

あぜ道を抜けてからここまでは脇道はないと思われたからだ。

彼らは俺をナビゲーターとして使っていた。

俺を捕らえるために速度を上げてくる必要があったからだ。


しかし、いつになっても後ろからのライトは確認できなかった。

考えられる理由をいくつか上げてみた。

一つは、俺が無いと思っている脇道がある。

二つ目は、後ろの先頭車両が事故、または故障のために道を塞いだ。

三つ目は、何らかの理由でUターンした。

四つ目は、あぜ道を抜けた所にあった人家の住民で、全ての車がそこで止まった。

五つ目は、忽然と車が消えた。原因不明の蒸発をした。


三つ目と四つ目、そして勿論五つ目は、可能性は低いと思われる。

一つ目の脇道が存在するというのも1年前まで逆方向だけだったが、十回ちかく通ったことのある道なので、全ての道程を紙に書く事も出来るほど明確に浮かべられるが、無いと思える。

やはり二つ目の、後ろの先頭車両が事故、または故障に見舞われたのか?

…どうする?

…戻って救助にあたるか?

…でも後続車が何台もあった。
< 9 / 64 >

この作品をシェア

pagetop