Rainbow God Bless
第4話 戦場は港町
ケルメス山道でトリッシュ、カタリナを加えた一行はアマラント国に辿り着いた。海沿いの立地で大きな港を構えている。漁業が盛んであり、船旅を楽しむ観光客でも賑わっている。
「さあ、ここがアマラント国だよ!」
「おお~、これだけ人がおれば仲間探しも捗りそうやなぁ♪で、どこから探そか?」
「そうですね…あそこの飲食店なんてどうでしょう?ちょうどお昼にもいい時間ですし」
「賛成!あたしお腹ペコペコだよ~…まずは腹ごしらえしよう!」
「フフッ…じゃあ決まりね♪楽しみだな~♪」
一行は一軒のハンバーガーショップへと立ち寄る。昼食時であるためか店内は多くの人々で賑わう。店員が注文を取りながら駆けていく姿が忙しない。
「チキンカツバーガーセット、お飲み物コーラでご注文のお客様!」
「あ、それ俺!」
少し高めの声が響く。凛々しさを含んだその声はとても爽やかで聞こえが良い。だが、店員はその声の主を特定出来ていないようだ。
「俺だってば!」
店員が困った様子で辺りを見回す。一通り見回して近くにいた少年に渡そうとすると、モニカ達から少し離れた席にいた1人の少女がいきなり立ち上がった。
「だから俺だって何回も言ってるだろ!ほら、レシートにも書いてあるじゃないか!」
凛々しく爽やかな声の主はその少女だった。黒い髪を肩まで伸ばしており、黒を基調にしたロック風のファッションに身を包んでいる。それに加え一人称が“俺”であるため、凛としたボーイッシュな印象を周囲に否応なしに与えていた。
「う~ん、女の子なのに“俺”って変わってるな…」
「そうですね。でもトリッシュならなんとなく似合いそうですよ」
「えっ?そ、そうかな…今度言ってみようかな──」
モニカ達が話していると、突然港の方角からサイレンの音が鳴り響いた。非日常的な耳を突く音が皆の緊張を喚起する中、1人の漁師が慌てて店に飛び込んできた。
「海賊の襲撃だ!!」
「海賊!?みんな、行きましょう!」
港へと向かうモニカ達の姿を先ほどの黒い髪の少女が見つめている。その左手にはモニカ達と同じ紋様が薄紫に輝いていた。
(左手が…これって…まさか、あの人達も…!?)
少女はモニカ達の後を追い掛ける。店にはギターを持ちピンクの衣装を着た不思議な身なりの青年だけが残っていた。
「何してんだ!アンタも早く逃げろ!」
「あ…すみません。すぐに出ますね」
(神々の子…祝福の証…さて、私の仕事もこれからですね)
モニカ達が港に辿り着くと、大勢の海賊達が漁港を占拠していた。魚が詰められた箱が黒い帆の船に運び込まれていく。仕事の知り合いも多いため、心配そうな顔をしているエレンのもとへ1人の老人が逃げてきた。
「おじさん!大丈夫?」
「おお、エレンちゃん…頼む、助けておくれ!」
「任せとけ、おっさん!あんな奴らノックアウトしてやるよ!」
「うおぉ~っ、海賊どもよ!正義の拳、受けてみるッス!!」
「な、なんだあいつら!?武器持ってこっちに来る!」
「チッ、めんどくせぇ。やっちまうぞ!」
モニカ達は二手に分かれて海賊と対峙する。数時間前の人々の活気に溢れ、和やかだった港の姿が嘘のような緊迫感に満ちている。
「オラァ!くらえ!」
「せいっ、チェストォッ!」
「えいっ、やあっ!」
テリー、トリッシュ、カタリナが倉庫付近で海賊達と戦う。海賊達は持っていた手斧の他、鉄パイプや木箱など辺りに散らばっているものを武器にしたが、3人に圧倒されるばかりだ。そこに緊迫した空気に触れて凛々しさを増した声が響く。
「シャドウバレット!」
紫みを帯びた黒い影の弾が1人の海賊の体を捉えた。その弾が放たれた方向に黒髪の少女が銃を両手に構えて立っていた。
「クソッ!新手が来やがった…」
「ここは一度逃げるぞ!親分に報告だ!」
海賊達は船へと逃走した。黒髪の少女はトリッシュ達の方へ駆けてくると、薄紫に輝く左手を見せて微笑んだ。トリッシュ、テリー、カタリナもそれぞれ黄色、琥珀色、青に煌めく左手を見せ、笑顔で頷いた。
「お前も…その紋様持ってんだ?」
「ヘヘッ…俺はリタ。よろしくな!」
「よろしくね♪じゃあ、モニカ達と合流しましょ!」
モニカ、エレン、アミィ、クレアの4人は港の波止場で海賊達と対峙する。荒々しく手斧を振るう海賊達に対し、怯むことなく立ち向かっていった。
「ぐあっ!コイツら…強過ぎる…」
「さあ、おとなしく降伏し、この漁港から直ちに立ち去りなさい!」
「お、お…親分!」
「ハハハッ!あたしらが帰れと言われて帰るような奴らじゃないってわかって言ってんの?」
その幼げな甲高い声の主こそ海賊の頭目だった。海賊服に身を包み、巨大なサーベルを携えている。金髪のショートヘアーに被る大きな海賊帽が少しばかり重たそうな印象を受ける。
「アンタが海賊のリーダーだね!」
「いかにも!あたしはこの七つの海を統べる天·才·大·海·賊!キャプテン·ロビンちゃんで~す♪」
「あっちゃ~…えらい痛々しい自己紹介やなぁ…」
「なんですって!?まっ、この素敵なセンスはあなたみたいなお子様にはわからないのよ~☆」
「…は?ちっとも悔しないわぁ。それに、自分も見た目ウチと変わらんくらいの歳やろ?それなのにお子様て…」
「キイ~ッ!何よ可愛くないわね!あたしはお酒も飲めるし選挙権もあるわよ!」
「に、20代!?とてもそうは見えないけど…とにかく、アンタにもお仕置きしてあげるから、覚悟しなよ!」
「ヘヘ~ン!やれるもんならやってみなさいよ~だ♪」
モニカ達にトリッシュ達も合流し、8人で残りの海賊達に立ち向かっていき、熱い戦いの火花を散らした。頭目のロビンには海賊船の甲板の上でモニカが対峙している。
「ほっ、よっと!」
「せいっ!はあっ!」
ロビンの剣の腕はモニカに勝るとも劣らないものだった。更に海賊らしい身軽な服装のため、軽快な身のこなしを見せている。次第に焦りの色が見え始めたモニカに対し、ロビンは余裕綽々の表情を浮かべていた。
「ほら、どうしたの?疲れちゃった?それともお腹でも空いた?」
(敵ながらなんていい腕…この剣術が略奪行為に使われているのが惜しい…)
「それじゃ…来ないならこっちから行くよ!それっ!」
ロビンは距離をとって様子を見ていたモニカめがけて剣を放り投げた。モニカが慌てて身をかわすと、投げられた剣はブーメランのように軌道を変えてロビンの手元に戻った。
「剣は振って戦うだけじゃないってわかってるでしょ?あなたもかなりいい腕してるんだし♪さあさあ、せっかくあたしの船の上、絶景のオーシャンビューで戦えるんだからまだまだ楽しもうよ!」
(クッ…距離をとっても攻めてくるなんて…いったいどうしたら…)
「今だ、スキあり!」
クレアがロビンに向け銃を放つ。ロビンが左手をかざすと彼女の体を無色透明な壁が守り、銃弾を跳ね返して波止場のコンクリートを砕いた。
「フフン、そう簡単に終わっちゃ面白くないでしょ?それに、あたし今この娘と勝負してるんだから邪魔しないでよね~♪」
なんとロビンの左手にも紋様が印されていた。その輝きは無色透明で、太陽の光を受けた硝子珠のように煌めいていた。
「そんな!?同じ…紋様が…」
「あれ~?あなた達も持ってるんだ?じゃあ、今すぐ降参したらあたし達の海賊団に入れてあげてもいいよ♪どう?悪い話じゃないと思うんだけど☆」
「そんなことに…人が悲しむことに使うためにこの力はあるんじゃない!ふざけるなああぁぁッ!!!」
目の前の悪に激昂したエレンが飛び掛かり、ロビンの喉元を鷲掴みにした。ロビンはそのまま宙吊りの状態にされ、足をバタ付かせてもがいている。
「〇※☆~!+×#△~!!」
「うああぁぁ!恥を知れこの野郎おおぉぉッ!!」
頭に血が昇ったエレンは乱暴に甲板にロビンを叩き付けた。突然の出来事にモニカ達も海賊達もただ呆然と立ち尽くすばかりであったが、テリーがいきなりその沈黙を破った。
「うおお~っ!エレンの言う通りッス~!!同じ紋様を持つのなら正義のため、世のため、人のために生かすべきッス!!自分もムカついてきたッス~!!!」
エレンとテリーの紋様が呼応するように輝いた。エレンの左手が放った火の球はいつもに増して激しく燃えているように見える。テリーの左の拳にも一層強く力がこもった。
「受けてみるッス!怒りの鉄拳!バーニングナックル!!」
「ひぎゃあああぁぁっ!!」
ザッパーン!!
テリーの拳で海まで飛ばされ、制裁を受けたロビンは遂に降参した。波止場にへたり込むその眼前には略奪した大量の魚、そして腕を組みながら未だに怒りの焔を静かに燃やすエレンとテリーの姿があった。
「うわあぁ~ん!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさ~い!!」
「まったく…もう悪いことするんじゃないよ!」
「そうだ!いい考えがあるッス!ロビンも自分らの旅に同行するッス!そこで更正するッス~!!」
「ぎょえっ!?あ…あたし…ちょっと用事を思い出した!さ、さようなら~!」
「えっ?ちょっと!う~ん…私もテリーのアイディア、名案だと思ったんだけどなぁ…残念…」
「当たり前だろ…あんなことされたらトラウマになるって…アタシだったら3日くらい寝込む、マジで」
「まあ、またの機会やな…たぶんまた会えるやろ」
「たぶん、な。で…俺は着いていきたいんだけど、いい?」
「ええ、喜んで。旅の仲間は多い方がいいですからね。よろしく、リタ」
「ああ、よろしくな!…って、今更なんだけど…俺、腹減った…」
「ウチもや~…だってハンバーガー食べてないやん!」
「じゃあ、みんなでまた食べに戻りましょ♪ね、トリッシュ?」
「なんでいきなりアタシに振るんだよ!確かに腹減ったけど…もうっ、とにかく早く行こう!ダブルチーズバーガーがアタシを待ってんだ~!!」
海賊の脅威からアマラント国を救ったモニカ達一行。同じ紋様を持つキャプテン·ロビンは逃げ去ってしまったが、リタを仲間に加え、8人となった。これからの旅路、どんな出会いが待っているのか?そして、祝福の証を持つ者はこの世界に何人存在するのだろうか?
To Be Continued…
「さあ、ここがアマラント国だよ!」
「おお~、これだけ人がおれば仲間探しも捗りそうやなぁ♪で、どこから探そか?」
「そうですね…あそこの飲食店なんてどうでしょう?ちょうどお昼にもいい時間ですし」
「賛成!あたしお腹ペコペコだよ~…まずは腹ごしらえしよう!」
「フフッ…じゃあ決まりね♪楽しみだな~♪」
一行は一軒のハンバーガーショップへと立ち寄る。昼食時であるためか店内は多くの人々で賑わう。店員が注文を取りながら駆けていく姿が忙しない。
「チキンカツバーガーセット、お飲み物コーラでご注文のお客様!」
「あ、それ俺!」
少し高めの声が響く。凛々しさを含んだその声はとても爽やかで聞こえが良い。だが、店員はその声の主を特定出来ていないようだ。
「俺だってば!」
店員が困った様子で辺りを見回す。一通り見回して近くにいた少年に渡そうとすると、モニカ達から少し離れた席にいた1人の少女がいきなり立ち上がった。
「だから俺だって何回も言ってるだろ!ほら、レシートにも書いてあるじゃないか!」
凛々しく爽やかな声の主はその少女だった。黒い髪を肩まで伸ばしており、黒を基調にしたロック風のファッションに身を包んでいる。それに加え一人称が“俺”であるため、凛としたボーイッシュな印象を周囲に否応なしに与えていた。
「う~ん、女の子なのに“俺”って変わってるな…」
「そうですね。でもトリッシュならなんとなく似合いそうですよ」
「えっ?そ、そうかな…今度言ってみようかな──」
モニカ達が話していると、突然港の方角からサイレンの音が鳴り響いた。非日常的な耳を突く音が皆の緊張を喚起する中、1人の漁師が慌てて店に飛び込んできた。
「海賊の襲撃だ!!」
「海賊!?みんな、行きましょう!」
港へと向かうモニカ達の姿を先ほどの黒い髪の少女が見つめている。その左手にはモニカ達と同じ紋様が薄紫に輝いていた。
(左手が…これって…まさか、あの人達も…!?)
少女はモニカ達の後を追い掛ける。店にはギターを持ちピンクの衣装を着た不思議な身なりの青年だけが残っていた。
「何してんだ!アンタも早く逃げろ!」
「あ…すみません。すぐに出ますね」
(神々の子…祝福の証…さて、私の仕事もこれからですね)
モニカ達が港に辿り着くと、大勢の海賊達が漁港を占拠していた。魚が詰められた箱が黒い帆の船に運び込まれていく。仕事の知り合いも多いため、心配そうな顔をしているエレンのもとへ1人の老人が逃げてきた。
「おじさん!大丈夫?」
「おお、エレンちゃん…頼む、助けておくれ!」
「任せとけ、おっさん!あんな奴らノックアウトしてやるよ!」
「うおぉ~っ、海賊どもよ!正義の拳、受けてみるッス!!」
「な、なんだあいつら!?武器持ってこっちに来る!」
「チッ、めんどくせぇ。やっちまうぞ!」
モニカ達は二手に分かれて海賊と対峙する。数時間前の人々の活気に溢れ、和やかだった港の姿が嘘のような緊迫感に満ちている。
「オラァ!くらえ!」
「せいっ、チェストォッ!」
「えいっ、やあっ!」
テリー、トリッシュ、カタリナが倉庫付近で海賊達と戦う。海賊達は持っていた手斧の他、鉄パイプや木箱など辺りに散らばっているものを武器にしたが、3人に圧倒されるばかりだ。そこに緊迫した空気に触れて凛々しさを増した声が響く。
「シャドウバレット!」
紫みを帯びた黒い影の弾が1人の海賊の体を捉えた。その弾が放たれた方向に黒髪の少女が銃を両手に構えて立っていた。
「クソッ!新手が来やがった…」
「ここは一度逃げるぞ!親分に報告だ!」
海賊達は船へと逃走した。黒髪の少女はトリッシュ達の方へ駆けてくると、薄紫に輝く左手を見せて微笑んだ。トリッシュ、テリー、カタリナもそれぞれ黄色、琥珀色、青に煌めく左手を見せ、笑顔で頷いた。
「お前も…その紋様持ってんだ?」
「ヘヘッ…俺はリタ。よろしくな!」
「よろしくね♪じゃあ、モニカ達と合流しましょ!」
モニカ、エレン、アミィ、クレアの4人は港の波止場で海賊達と対峙する。荒々しく手斧を振るう海賊達に対し、怯むことなく立ち向かっていった。
「ぐあっ!コイツら…強過ぎる…」
「さあ、おとなしく降伏し、この漁港から直ちに立ち去りなさい!」
「お、お…親分!」
「ハハハッ!あたしらが帰れと言われて帰るような奴らじゃないってわかって言ってんの?」
その幼げな甲高い声の主こそ海賊の頭目だった。海賊服に身を包み、巨大なサーベルを携えている。金髪のショートヘアーに被る大きな海賊帽が少しばかり重たそうな印象を受ける。
「アンタが海賊のリーダーだね!」
「いかにも!あたしはこの七つの海を統べる天·才·大·海·賊!キャプテン·ロビンちゃんで~す♪」
「あっちゃ~…えらい痛々しい自己紹介やなぁ…」
「なんですって!?まっ、この素敵なセンスはあなたみたいなお子様にはわからないのよ~☆」
「…は?ちっとも悔しないわぁ。それに、自分も見た目ウチと変わらんくらいの歳やろ?それなのにお子様て…」
「キイ~ッ!何よ可愛くないわね!あたしはお酒も飲めるし選挙権もあるわよ!」
「に、20代!?とてもそうは見えないけど…とにかく、アンタにもお仕置きしてあげるから、覚悟しなよ!」
「ヘヘ~ン!やれるもんならやってみなさいよ~だ♪」
モニカ達にトリッシュ達も合流し、8人で残りの海賊達に立ち向かっていき、熱い戦いの火花を散らした。頭目のロビンには海賊船の甲板の上でモニカが対峙している。
「ほっ、よっと!」
「せいっ!はあっ!」
ロビンの剣の腕はモニカに勝るとも劣らないものだった。更に海賊らしい身軽な服装のため、軽快な身のこなしを見せている。次第に焦りの色が見え始めたモニカに対し、ロビンは余裕綽々の表情を浮かべていた。
「ほら、どうしたの?疲れちゃった?それともお腹でも空いた?」
(敵ながらなんていい腕…この剣術が略奪行為に使われているのが惜しい…)
「それじゃ…来ないならこっちから行くよ!それっ!」
ロビンは距離をとって様子を見ていたモニカめがけて剣を放り投げた。モニカが慌てて身をかわすと、投げられた剣はブーメランのように軌道を変えてロビンの手元に戻った。
「剣は振って戦うだけじゃないってわかってるでしょ?あなたもかなりいい腕してるんだし♪さあさあ、せっかくあたしの船の上、絶景のオーシャンビューで戦えるんだからまだまだ楽しもうよ!」
(クッ…距離をとっても攻めてくるなんて…いったいどうしたら…)
「今だ、スキあり!」
クレアがロビンに向け銃を放つ。ロビンが左手をかざすと彼女の体を無色透明な壁が守り、銃弾を跳ね返して波止場のコンクリートを砕いた。
「フフン、そう簡単に終わっちゃ面白くないでしょ?それに、あたし今この娘と勝負してるんだから邪魔しないでよね~♪」
なんとロビンの左手にも紋様が印されていた。その輝きは無色透明で、太陽の光を受けた硝子珠のように煌めいていた。
「そんな!?同じ…紋様が…」
「あれ~?あなた達も持ってるんだ?じゃあ、今すぐ降参したらあたし達の海賊団に入れてあげてもいいよ♪どう?悪い話じゃないと思うんだけど☆」
「そんなことに…人が悲しむことに使うためにこの力はあるんじゃない!ふざけるなああぁぁッ!!!」
目の前の悪に激昂したエレンが飛び掛かり、ロビンの喉元を鷲掴みにした。ロビンはそのまま宙吊りの状態にされ、足をバタ付かせてもがいている。
「〇※☆~!+×#△~!!」
「うああぁぁ!恥を知れこの野郎おおぉぉッ!!」
頭に血が昇ったエレンは乱暴に甲板にロビンを叩き付けた。突然の出来事にモニカ達も海賊達もただ呆然と立ち尽くすばかりであったが、テリーがいきなりその沈黙を破った。
「うおお~っ!エレンの言う通りッス~!!同じ紋様を持つのなら正義のため、世のため、人のために生かすべきッス!!自分もムカついてきたッス~!!!」
エレンとテリーの紋様が呼応するように輝いた。エレンの左手が放った火の球はいつもに増して激しく燃えているように見える。テリーの左の拳にも一層強く力がこもった。
「受けてみるッス!怒りの鉄拳!バーニングナックル!!」
「ひぎゃあああぁぁっ!!」
ザッパーン!!
テリーの拳で海まで飛ばされ、制裁を受けたロビンは遂に降参した。波止場にへたり込むその眼前には略奪した大量の魚、そして腕を組みながら未だに怒りの焔を静かに燃やすエレンとテリーの姿があった。
「うわあぁ~ん!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさ~い!!」
「まったく…もう悪いことするんじゃないよ!」
「そうだ!いい考えがあるッス!ロビンも自分らの旅に同行するッス!そこで更正するッス~!!」
「ぎょえっ!?あ…あたし…ちょっと用事を思い出した!さ、さようなら~!」
「えっ?ちょっと!う~ん…私もテリーのアイディア、名案だと思ったんだけどなぁ…残念…」
「当たり前だろ…あんなことされたらトラウマになるって…アタシだったら3日くらい寝込む、マジで」
「まあ、またの機会やな…たぶんまた会えるやろ」
「たぶん、な。で…俺は着いていきたいんだけど、いい?」
「ええ、喜んで。旅の仲間は多い方がいいですからね。よろしく、リタ」
「ああ、よろしくな!…って、今更なんだけど…俺、腹減った…」
「ウチもや~…だってハンバーガー食べてないやん!」
「じゃあ、みんなでまた食べに戻りましょ♪ね、トリッシュ?」
「なんでいきなりアタシに振るんだよ!確かに腹減ったけど…もうっ、とにかく早く行こう!ダブルチーズバーガーがアタシを待ってんだ~!!」
海賊の脅威からアマラント国を救ったモニカ達一行。同じ紋様を持つキャプテン·ロビンは逃げ去ってしまったが、リタを仲間に加え、8人となった。これからの旅路、どんな出会いが待っているのか?そして、祝福の証を持つ者はこの世界に何人存在するのだろうか?
To Be Continued…