【短】あの人と私~赤ずきんの恋~
冷たい瞳
「え!野田先生入院したんですか!?」


「そうなんですよ、なので今日から三年A組を幸田先生にお願いします」



教頭先生に告げられた私の鼓動は、急に速くなった。




あのクラスには、あの人がいる…。





冷たい瞳をした


高橋 猛が‥。













教師になって二年目の春、

あの人がこの学校に転校してきた。



あの人が職員室に入って来た時、私は遠くの席からあの人を見ていた。



新しい生活が始まるというのに、あの人はとてもだるそうに椅子に座って野田先生の話を聞いていた。


窓から入ってきた春風が、あの人の黒い髪をなびかせ、あの人は遠い空を見上げた。



私は、なぜかあの人から目を逸らせれなかった。



あの人の冷たい瞳を、

吸い込まれるようにずっと見ていた…。








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