【短】あの人と私~赤ずきんの恋~
「聞こえなかった。もう一回言って」




えゞ!?

聞こえてなかったの!?


この沈黙のせいで凄くドキドキしてたのに~!



私はもう一度お礼を言った。



「ありが‥とう」

「もっと大きい声で」

「だって、ここ図書室だよ?大きい声なんて出せないよ‥」

「じゃあ‥聞こえるように言ってよ」



あの人の低い声が、私の心に意地悪しているように聞こえた。




聞こえるようにって…どうすればいいの?



声を大きく出すためにここから一緒に出る??


けど、そんな大げさなことしたら、また変な奴って思われちゃう。

そんなの、いや…。





私は勇気を振り絞って、あの人の耳に顔を近づけた。




『ありがとう』///






そう言って私は、すぐにあの人の前から立ち去った。





真っ赤になった顔を、

あの人に見られるのが恥ずかしかったから…。






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