【短】あの人と私~赤ずきんの恋~
昨日、あの人の前から逃げるように図書室を出てしまった。


なんだか恥ずかしくて、今朝のホームルームで、
私はあの人を見ることが出来なかった。



自分がどんどんおかしくなっていく…。


あの人のことで、頭がいっぱいになっていく…。







私は、昼休みになると図書室に歩きだしていた。



心の中で、あの人に会うためじゃないよ、本を読むためって呟きながら。


だけど、心の奥で想ってはいけないことを思っていた。






『あの人に会いたい』 と…。








あの人の指定席に目を向けないようにしながら、この前の本がある本棚に向かって歩いた。


本を借りたらすぐにここを出よう…そう思いながら。













私は




そう思ってたのに




そう決めて来たのに






どうして、あなたがそこにいるの…?





本棚の前で、私が借りようとしていた本をあの人が持っている。







あの人の瞳を見た瞬間、


私の心は恋におちてしまう…。











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