【短】あの人と私~赤ずきんの恋~
秋風が校舎の窓をノックするように打ちつけている。


昨日から降り続いている雨がグラウンドに水溜まりを作っていた。




私はずっと感じている鼓動を落ち着かせようと、窓の外を見ながら廊下を歩く。




『落ち着いて』

心の中で呟き、深呼吸をして教室のドアを開けた。




「あっ由紀ちゃんだ~!」

「由紀ちゃんが担任になるの!?」



男子生徒の声が私を迎えてくれた。




小さい頃からあがり症の私は、人前に立つことが苦手だった。


だけど、高校生の時に担任の先生に憧れて私は教師になった。


苦手な世界に、自分から入ってしまった。




いつかは人前に立つことに慣れると思ってた。


だけど、、、

やっぱり緊張しちゃう!



私は震える足をがんばって動かし、教壇に上がった。




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