【短】あの人と私~赤ずきんの恋~
昼休み、私は図書室に来ていた。


あの人がいない時間、私は思ってはいけないことを思っていた。



一秒でも傍にいたい…

そう思っていた。






あの人の前に立った私に、あの人が笑みを見せて言った。


「またキスされに来たの?」




私はあの人の口を慌てて塞いだ。



あの人の唇から温もりが伝わる。


私は、自分の鼓動があの人に伝わりそうで怖くなった。




「違う!‥」


「じゃあ、どうしてここに来たの?」



あの人に手を掴まれ、
体を引き寄せられた私の鼓動がよけい激しくなる。



「や‥めて。この前のこと‥謝ってもらおうと思って来たの」


「謝る?どうして謝んなきゃいけないの?」


「だって、あなた私に無理やり…」


「無理やり?なに‥?なにされたの?」




意地悪なあの人。


あなたは、どうしていつも自信のある視線で私を見るの?

私はこんなにドキドキしてるのに…。



「いやだった?」




そんなこと聞かないで…


いやなわけ…ないでしょ…




あなたは、どんな気持ちで私にキスをしたの…?





あなたの気持ちが知りたい



あなたの心の中を見てみたい













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