【短】あの人と私~赤ずきんの恋~
私は、文化祭を議題にした帰りのホームルームを終えると、図書室へ向かった。




あの人に、お別れするために…。








図書室に入ると、本たちがオレンジ色に染まり並んでいた。


私は、その本達の間をゆっくりと歩く。



一番奥のあの人の指定席…






そこにはやっぱりあの人がいた。




私が大好きなあの人が


私を待ってくれていた…。









私は、あの人の瞳に吸い込まれそうになる。



あの人が私の背中に手をまわし、キスをしようとする。




「待って!!」



私は、あの人の瞳を真っ直ぐに見つめた。



今、キスをされると

私の気持ちが揺らいでしまう…。




あの人は、私を見つめたままキスをするのをやめた。



「だめだよ…こんなことしちゃ……」


「どうして?」


「あなたと私は…教師と生徒だから…」


「教師?俺、あんたを先生だなんて思ったことないよ。
あんたもだろ?」




どうして私の心が読めるの…?


そんなに自信たっぷりな瞳で、私を見ないで…。


全てを見透かされているようで、何も言えなくなる。




「それでも…やっぱりだめだよ…。
高橋君は一生に一度の高校生活をおくってるんだよ。
そんな大切な時間の中で、こんな私となんか関係を持ってたら、時間がもったいないよ…」



これが、教師としての精一杯の言葉だった。








なのに…


あなたはどうして意地悪をするの…?



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