【短】あの人と私~赤ずきんの恋~
「俺のこと、好きじゃないの?」


真っ直ぐな瞳で、そんなこと聞かないで…。




「嫌いなの?」



嫌いだなんて言えないよ…。




「答えてくれなきゃキスするよ?」




キスをされると

あなたに触れられると



私はだめになってしまう…。






「すき…」


あの人に聞こえないように、小さな声で言った。


伝えたい気持ちを、届かないように祈りながら。




けれど、あの人は私の言葉を聞き逃さなかった。




あの人の眼差しが強くなり、


あの人の大きな手が私の顔に触れた。




そして、私の唇を一瞬で奪ってしまう。





「嘘‥つき‥!」



声を出すと、すぐにあの人の舌が入ってきた。



そうなるってわかっていたはずなのに…


私は声を発していた。





あの人を拒みながら、


私はあの人を求めていた。







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