【短】あの人と私~赤ずきんの恋~
教壇の上に立つと、すぐにあの人が目に入った。



窓際の一番後ろの席。



あの人は、初めて会った時と変わらない冷たい瞳をしていた。





どうしよう‥

私の心臓が壊れたように激しく鼓動を打つ。



この鼓動は人前に立ったからじゃない。


あの人が、ここにいるから…。




どうしてかな‥

あの人の瞳を見るだけで私はおかしくなる。


あの人が気になるのに、あの人を見ることが出来ない…。









その時のホームルームで、私は何を喋ったか覚えてなかった。


私は必死にあの人を見ないようにしていた。




こんなんじゃあのクラスの担任なんて出来ない。

しっかりしなきゃ…。



職員室に戻った私は、溜息をついた後
数回しか行ったことがなかった図書室に向かった。



とりあえずこのあがり症をなんとかしなきゃ…。


きっと医学の本にあがり症を治す方法が書いてあるはず。




図書室に入ると、背の高い本棚に古い本がいっぱい並んでいた。






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