【短】あの人と私~赤ずきんの恋~
「なにするの!?」
見上げると、いやな顔つきで私を見ている梅原君がいる。
立ち上がり部屋から出ようとすると、梅原君が私をソファに押し倒した。
「本当は俺のこと忘れられないでいたんだろ?」
「やめて!!あんたなんて大っ嫌い!」
「あの頃は俺に夢中だったくせに」
「私は梅原君に騙されてたんだよ!?」
「俺、騙したことなんかないよ」
「嘘!私を好きって言ったのに他に彼女がいたでしょ!?」
「確かに彼女がいたよ。だから由紀とは付き合ってない。
俺が好きだって言ったのは、由紀の白い肌のことだよ。
もしかして、今まで俺と付き合ってたと思ってたの?」
鼻で笑った梅原君の顔が、私の顔に近づいた。
「いやっ!‥やめて!!」
私は必死で梅原君の唇を避けた。
あの人の温もりが残っている唇を必死で守ろうとした。
「久しぶりに‥いいだろ?」
「いやぁ!!」
梅原君の力に敵わない。
抵抗すればするほど、梅原君の力の強さを体で感じてしまう。
何度も立ち上がろうとした。
けれど、梅原君の片手に私は捕まってしまう。