【短】あの人と私~赤ずきんの恋~
「あ‥ありがとう」


私の顔が、気づかないうちに熱をもっていた。


きっと私、今顔が赤くなってる…。



恥ずかしくて、私はあの人から目を逸らし本を受け取った。




こんな所で会うなんて思わなかった。


私の鼓動が、また激しく波打つ。



平然としなきゃ…

生徒に動揺なんてしてたら変に思われちゃう。




「先生、なんの本読んでるの?」


「え‥!?」



あの人に声をかけられ私は気が動転しそうになり、

とっさに本を後ろに隠した。



けれど、私が隠した本は
背の高いあの人に軽々と取られた。



「心理学?先生、心理学に興味があるの?」


「興味というか…自分のあがり症を治したくて‥」




本のことを聞かれただけなのに、なぜか自分のあがり症のことまで言ってしまった。


この事は恥ずかしくて、一緒に住んでる友達の明日香にしか言ってないことだったのに…。






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