【短】あの人と私~赤ずきんの恋~
「先生あがり症なのに教師になったの?」


「う‥うん。いつかは克服できると思ったんだけど…無理みたい」



私の顔を見て、あの人がクスッと笑った。



私、あの人に絶対変な人だって思われた!!

あがり症だなんて言わなきゃよかったよ~!



自分を責める気持ちと恥ずかしさが一杯になって、強気な口調があの人に向かった。



「今、笑ったでしょ!?」


「笑ってませんよ」


「嘘!急に敬語になったのは笑った証拠!」


「ごめん、俺笑ったね‥」




あの人は唇を尖らせた私をなだめるように、少し微笑みながら謝った。



私はその微笑みにドキッとした。


いつも冷たい瞳をしているあの人は、

こんなふうに笑うんだ…。




私は、その瞳に吸い込まれそうになる。






「じゃあ、頑張ってね。先生」



あの人が背中を見せて歩きはじめる。



私は、もう一度あの瞳が見たかった。



「高橋君、このことは秘密にしてね!」



振り返ってくれることを期待して言ったけど

あの人は、振り返らないまま私にピースを見せて行ってしまった。







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