コノ想い届ケ
「そんな、目上の方にそのような…」
「え…?私より年下ですか?」
悠は頷いた。
大人っぽく見える為であろうか。
よく歳を間違えられる。
「私は今年で二十になります。」
「えぇ!?私、てっきり同い年くらいかと…」
悠は笑った。
よくあることだからとあまり気にしてはいなかった。
「ですが、それで道場主とは…」
「土方さんの言い分には少し誤解があります。本当の道場主は別にいるのです。……ですが、土方さんが初めて来たとき道場主、私の師匠にも当たる人は行方を眩ませていました。」
姿を見せなくなったのだ。
そこでその時、一番実力のあった悠が道場主ということになっていたのだ。
土方はそのことを知らない。
「そうだったんですか…。だから、貴女が…」
「まぁ、女が刀を取るなんて可笑しな話ですがね。」
悠は自嘲気味に笑った。