コノ想い届ケ
悠たち零番組は巡察はしない。
斬り合いになればひとたまりもない。
今のままじゃ自分の身を守れるかどうかも分からない。
そんな人たちを巡察になど出せない。
「じゃあ、おやすみ。」
悠が寝に入った時だった。
静かに襖を開け、入ってきた。
勿論、それを感じない悠ではなかった。
「死ね!!」
悠は瞬間的に枕元にあった刀を取り、相手の首もとに向けた。
暗闇でよく顔は見えない。
「あー…やっぱり悠には意味がなかったなー…」
「その声……。あ…!藤堂組長!?」
悠は刀を下ろした。
そして、暗闇に目が慣れたのか藤堂の顔がぼんやりと見え始めた。
「す、すみません!」
「いやいや。新人隊士にはこうやって度胸試しをやるんだよね。でも、やっぱり悠にはいらなかったね。」
藤堂は笑った。
むしろ、悠の周りで寝ていた五人の方が顔を真っ青にしていた。
一度やられたことがあるとはいえ、悠が間違って斬ってしまうのではないかと思った。