コノ想い届ケ
「流石、悠。すぐに組長になっただけあるし、僕とやっただけあるよね。」
「ありがとうございます。では、また明日も早いので…」
「うん。おやすみー…」
藤堂は手を振って出ていった。
悠は何事もなかったかのように眠りについた。
「死ぬ……」
「死にません。ほら、まだまだですよ。」
朝から稽古をしていた。
誰もいない道場にたった六人。
声と木刀のぶつかる音だけが響く。
「強くないと自分の身すら守れません。そんなんで使ってもらえるなんて思わないで下さい。」
朝から罵声を飛ばす悠。
でも、泣き言なんて言っていられないのだ。
悠は近々、嫌なことが起こるような気がしていたのだ。
もし、本当に起これば零番組も出ることになる。
形振り構っていられないのだ。
「悠さーん。ご飯ですよー…」
沖田が眠そうに目を擦りながら道場にやってきた。
そして、床に這いつくばっている五人の姿を見て笑った。
「いやー、派手にやりましたねー…」
「いえ、弱いだけですよ。それに嫌な予感がするので…」
悠は面を外した。
そして、手拭いを外した。
少し結いグセのついた黒髪が下ろされた。
幼さが少し残っている整った綺麗な横顔を沖田は見ていた。