コノ想い届ケ
「隼人、今日の夜島原行くよ。」
「へっ…!?悠、女じゃ……」
「そうだよ。土方さんの命令。いい?」
和田は渋々頷いた。
悠は木刀を握らなかった。
「どうした…?やらないのか?」
上田が尋ねた。
悠はニヤリと笑った。
「今日は試合にしようと思ってさー。私だって隊士たちが馬鹿にされてるのを知らない訳じゃないし。悔しいでしょ。」
悠は道場にいた数人の隊士を見た。
悠に見られた隊士は罰が悪そうに下を向いた。
「でも、僕たちは……」
宮川は自信がなさそうにうつ向く。
悠は笑った。
「誰が稽古つけたと?まぁまぁ、自信もってさ。」
悠は藤堂に試合を頼んだ。
藤堂もあっさりと承諾した。
悠は楽しそうに端で藤堂と見ていた。
「それにしてもどうしたの?いきなり試合なんて。」
「私が何かを言われるのは慣れたんです。でも、隊士が何かを言われるのは聞き捨てならなくて…」
藤堂は納得したように笑った。