コノ想い届ケ
「じゃあ、行ってくるね。」
悠は和田を連れて島原に向かった。
土方はもう先にいる。
「酒…飲むのか?」
「今日は飲まないよ。隼人、今日連れてきたけど見てるだけでいい。無理にやる必要はないから。」
遊郭の大きな門をくぐった。
和田はそう告げられ遊びに来たのではないということに気付いた。
「土方さん、悠です。」
「おぉ、入れ。」
入ると煙管の煙と遊郭特有の甘い匂いに噎せ返りそうだった。
悠の後ろには和田もいる。
「土方はんに負けへんような顔しとるな。」
土方にべったりくっついている女が二人いた。
土方は当たり前のような顔して笑っている。
そのうちの一人が悠にくっついた。
和田には見向きもしない。
「飲まへんの?」
「お酒、駄目なんだ。ごめんね…」
悠は女の頭を撫でた。
女は顔を赤くした。
悠は男顔負けのかっこよさに加え、女の扱いに慣れている。
土方に引けを取らない。