コノ想い届ケ



「じゃあ、行ってくるね。」


悠は和田を連れて島原に向かった。
土方はもう先にいる。


「酒…飲むのか?」


「今日は飲まないよ。隼人、今日連れてきたけど見てるだけでいい。無理にやる必要はないから。」


遊郭の大きな門をくぐった。
和田はそう告げられ遊びに来たのではないということに気付いた。





「土方さん、悠です。」


「おぉ、入れ。」


入ると煙管の煙と遊郭特有の甘い匂いに噎せ返りそうだった。
悠の後ろには和田もいる。


「土方はんに負けへんような顔しとるな。」


土方にべったりくっついている女が二人いた。
土方は当たり前のような顔して笑っている。

そのうちの一人が悠にくっついた。
和田には見向きもしない。


「飲まへんの?」


「お酒、駄目なんだ。ごめんね…」


悠は女の頭を撫でた。
女は顔を赤くした。

悠は男顔負けのかっこよさに加え、女の扱いに慣れている。
土方に引けを取らない。




< 36 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop