コノ想い届ケ




「見つけました。」


悠は刀に手をかけた。
和田はあまり出たことのない戦いの場。

緊張していた。
悠の口調が変わった。
それはつまり、敵を見つけ、戦闘体制に入ったということ。




「土方はん、こんなところで……っ…」


「いいだろ。……裏切り者さんよぉ。」


悠はそれを合図と取り、潜んでいた長州藩士を斬り捨てた。
土方は容赦なく女を斬り捨てた。

それを見た和田はあまりにも酷いと思い、刀を抜くことは出来なかった。


「私たちの情報が簡単に流れるとお思いですか?」


「鬼の住む場所に女一人の犠牲で済むと思うなよ。」


ポタリ、ポタリと刀から血が滴り落ちていた。
和田は初めて悠が怖いと思った。

女なのに少しの躊躇いもなく斬り捨てていく。

そんな姿を怖いと思ったのだ。
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