コノ想い届ケ
「名前は?」
「悠です。よろしくお願いします。」
悠は一礼し、木刀を構えた。
防具は付けていない。
「じゃあ、私が審判しますね。危なくなったらすぐ止めるのでそのつもりで。」
悠は中段に構え、藤堂から目を離さなかった。
藤堂はいつになく真っ直ぐに見てくる目に気を引き締めた。
久し振りに強そうな人が来たかも。
僕がやれるなんて嬉しいもんだね。
「始め!」
藤堂は地面を蹴り突っ込んできた。
悠はそれを難なくかわし、様子を見た。
「かわすだけじゃやっていけないぜ!」
カンッ__
何度か木刀が響く音がした。
悠は息一つ乱していなかった。
そして、ニヤリと笑った。
周りにいた者たちはその笑みに悪寒が走った。
そして、初めて悠から仕掛けた。
「ぐっ…!」
その一撃はとても重いものだった。
細く、小さな身体の何処から出てくるのかと思わせるほどだった。
「もういっか…」
誰にも聞こえないほどの小さな声で呟いた。
そして、藤堂は悠の木刀を弾いた。