コノ想い届ケ
「何かあったんですかー?」
「いや、これから起こるんだよ。」
土方はニヤリと笑った。
すると、山崎が部屋に入ってきた。
「桝屋という店にて長州の輩を見つけました。桝屋喜右衛門こと、古高俊太郎が繋がっているかと…」
山崎の報告は続いた。
武器を隠しているとの報告もあった。
「捕縛するぞ。言わねぇなら吐かせてやる。」
悠はゾクッとしながらも笑みを浮かべていた。
笑っていたのは悠だけではなかった。
此処にいる幹部の殆んどが笑っていた。
「大きな手柄が立てられそうだね。」
藤堂が呟いた。
まだ名の知られていない新撰組にとって手柄は大切なものだった。
そのせいで"幕府の犬"などと呼ばれることもある。
だが、此処の人たちにはそんなことは関係なかった。