コノ想い届ケ
「はぁ……。あの人にだけは心配かけさせたくなかったんだけど…」
でも、信じてもらえないよりはましか。
そう考え、また寝ることにした。
そして、ほぼ一日寝ていたようであっという間に次の日の朝になっていた。
「悠、おはよー!」
そう言って入ってきたのは額に晒を巻いている藤堂だった。
悠はあれだけ寝たのにもかかわらず眠そうに目を擦りながら起き上がった。
「おはよー…」
「祭!行こうよ!」
「祭…?」
今日は祇園祭だった。
あれだけ血生臭いことをやったあとにまさか祭とは思ってもいなかったのだろう。
確かにやったのはほんの一部でのことにすぎない。
町の人には関係もないのだ。
「行く行く!」
「なら早くねー!」
藤堂は楽しそうに部屋から出ていった。
悠は大きな欠伸をして立ち上がり、部屋から出た。