コノ想い届ケ
「ねー、へーすけー…」
「ん?何?」
「人が多すぎるー!」
そう、祇園祭の為に町はいつも以上に人が多かった。
あっちこっちから太鼓の音や色々聞こえてくる。
あまり身長のない悠は人混みに紛れ、藤堂や原田、永倉の姿を見失いそうになっていた。
「悠!手出せよ!」
悠は原田に言われるがままに手を出した。
すると、原田はその手をしっかりと掴んだ。
「左之は大きいからねぇ…。見失わなくて済むよ。」
永倉は原田に肩車して乗っていた。
特に何も気にしない様子で辺りを見ていた。
人混みが避けるようにスイスイと進んでいく。
「沖田さんにお土産買いたいんだけど…」
「お、総司にか。あいつ、退屈してそうだからな。」
すると、原田は端の方に並ぶお店へと移動した。