コノ想い届ケ



「ねー、へーすけー…」


「ん?何?」


「人が多すぎるー!」


そう、祇園祭の為に町はいつも以上に人が多かった。
あっちこっちから太鼓の音や色々聞こえてくる。

あまり身長のない悠は人混みに紛れ、藤堂や原田、永倉の姿を見失いそうになっていた。


「悠!手出せよ!」


悠は原田に言われるがままに手を出した。
すると、原田はその手をしっかりと掴んだ。


「左之は大きいからねぇ…。見失わなくて済むよ。」


永倉は原田に肩車して乗っていた。
特に何も気にしない様子で辺りを見ていた。

人混みが避けるようにスイスイと進んでいく。


「沖田さんにお土産買いたいんだけど…」


「お、総司にか。あいつ、退屈してそうだからな。」


すると、原田は端の方に並ぶお店へと移動した。
< 74 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop