コノ想い届ケ
「本当だよ。……じゃあ、お大事に。」
悠は部屋から出ていった。
沖田は笑っていたが、出ていく間際に見せた悠の苦笑いを浮かべた顔が頭から離れなかった。
「総司、団子食うか?」
「食べます!」
入ってきたのは土方。
ようやく聞きたいことがようやく聞けるのだと思った。
「土方さん、悠さんは何者ですか?貴方にとってどんな人ですか?」
沖田は鋭かった。
上手く二人が隠しているつもりでも分かってしまったのだ。
昔からの知り合いだとは言っていたものの何処かぎくしゃくしていたのを見ていた。
「あいつは昔からの馴染みだ。お前が試衛館に来るよりもっと前のな。」
「それだけですか?なら、どうしてあの事件のあとから悠さんの様子がおかしいんですか?」
沖田は土方に対して質問攻めだった。
ただ、知りたい。
それだけだった。
「あいつは俺の前から突然姿を消した。いくら探しても見つけることは愚か、情報すらなかった。そして、今になって姿を現したんだよ。」
空白の日があるのだ。
誰も知らない、空白の日が。
悠しか知らない。
あの日、あの時、何があったかなんて。