コノ想い届ケ
「よぉ、悠。何してたんだ?」
「うげ……。土方さん…」
着地して、顔を上げると腕を組みこっちを見ている土方がいた。
何でこんな夜中に起きてるんですか…
失敗した…
「秘密です。疑うなら疑ってもらっても構いません。」
「別に、お前のことだ。何かあんだろ?俺にも言えねぇようなことがよ。」
悠は苦笑いを浮かべたと同時に少しだけ心が痛んだ。
土方は眠そうに大きな欠伸をした。
「私は寝ますよ。土方さんも少しは寝たらどうですか?目の下の隈、日に日に濃くなってますよ。」
悠はクスクスと笑って部屋に戻っていった。
そして、ほんの数刻眠ればあっという間に朝を迎えた。
「ふぁ~あ……。おはよー…」
「おはよう…。眠いのか?」
井戸で会ったのは斎藤だ。
朝から稽古をしていたのか額には汗が浮かんでいる。
悠は目を擦りながら何度か頷いた。
「ちょっと夜起きててねー…」
「体を壊すほどのことだけはするな。」
無口、無表情ながら斎藤は心優しい。
実は結構、悠のことを気にかけてくれている。
女一人で困ったことはないか、何か不便なことはないかといつも色々聞いているのだ。
「はーい…。あ、味噌汁のいい匂いがする!」
悠は広間の方へと走っていった。
それを見た斎藤は余計な心配だったのかとうっすらと笑みを浮かべていた。
「いただきまーす!」
悠はパクパクと次々に口に運んでいく。
勿論、味わってもいる。
「ゆーう!今日の夜島原行こうぜー!」
「いいよ!勿論、平助の奢りで!」
前の約束を 覚えていたのだ。