咲き誇る花
そう言うと青年は立ち去ろうとする。
私はその後ろ姿に頭を下げた。
すると、着物の裾のほつれを見つけた。
「ま、待って!」
そして気が付くと声をかけていた。
青年はこちらを振り向く。
「何?」
「あ、あの、裾がほつれてて。私、着物とかの直しを仕事にしてるんです。よかったら、直します」
青年は裾を見ると本当だ。と呟いた。
しかし、
「いや、大丈夫だ。これくらい。」
と、私の申し出を断った。
「で、でも、ぶつかっちゃったお礼として、直させてください」
私はもう一度言った。
「なら、頼んでもいいか?」
青年はふっと微笑んだ。
「はい!」
思わず私は大きな声で返事をした。