咲き誇る花

「お母様~」

するとその時一人の子供が部屋に入ってきた。

「お母、様?」

永倉は呆然とする。

「まさか、総司との?」

青葉は悪戯っぽく笑った。

「緑という名前なんです。可愛いでしょう?」

「じゃあ、本当に……」

青葉はそこで悲しそうな顔をした。

「残念ながら総司様との子ではありません。この子は捨て子だったのです」

青葉は緑を膝に乗せると頬をぷにぷにと触った。

「けど、何だか総司様に似ている気がして」

ほら、と、青葉は緑を永倉に向けた。
< 5 / 35 >

この作品をシェア

pagetop