17歳の遺書
輝く陽。
少し先を急ぐように歩く美帆。
『ねぇ、6時間立っちゃったよ。』
『うん、怒られるな。』
『そうだ。怒られちゃうよ。私まで怒られるじゃんか。』
やめてよ。と笑う美帆。
その笑顔はまた切なくて...
美帆が背中に背負っているものの重さに気づく。
俺に分けて。俺が持つから。
『一緒に背負うから。』
思わず出た言葉に美帆が反応する。
『ん?なに??』
『こっち向いてよ。』
全然振り向かない美帆に声をかける。
美帆が立ち止まり振り向く。
美帆がしまっているものはなに?
溜め込んでいるものはなに。
それを探すように抱き寄せる。
『早く行かなきゃ。怒られちゃう。』
『いーよ。』
『ダメだよ。無理したら....』
『無理したら?』
『手術できなくなったら、一緒にいれないじゃん。約束した。そばにいてくれるって、言ったじゃん。不安だよ。ゆうが近くにいても遠くにいるみたい。』
『もっと俺を信じて。』
『誰よりも信じてる。信じてるけど、不安で不安でたまらないときだってあるよ。』
『ごめん。』
美帆の背負っているものに、少しだけ触れた気がする。このまま俺に全部、預けて。
『美帆。』
優しく呼ぶと、あげられる顔。
見上げられる瞳が泣き出しそうに揺れる。
『好き。世界で一番美帆を愛してる。』
『必ず帰ってくるから、待ってて』
ぎゅっと込められる力。心なしか震えている。
『わたしも好き。誰よりも好き。
ずっとそばにいて、私だけを見て。
信じてる。ずっとずっと待ってるから。』
そしてまたキスを交わす。
約束を心に刻むように。