17歳の遺書
優太が入ったのを確認して、
俺は手術室からでる。



誰か見えるのは美帆だろう。
美帆はベンチに腰掛けていて、
俺の方を向いたと思ったらすぐに崩れた。


すぐに駆け寄る。
スースーという寝息に少しホッとする。
『美帆。』
と声をかけるが揺れるのはほおの涙とその跡だけ。


美帆のことだから、きっと優太のことを心配しすぎて、ずっと寝れてなかったのだろう。


すっと、美帆を抱き上げる。
俺が優太じゃないことに、多分がっかりするだろうけど、
ちょっとだけ、我慢してくれ。

美帆を起こさないように、静かに運ぶ。



平日の朝方だからか、人は全然いなくて、俺の足音だけが廊下には静かに響く。

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